2013年10月17日木曜日

DKトオル

うっかり方言の話してたけど、もともとは売春するDK及川さんの話を書きにきたんでした!そのまま忘れてた方が良かったかもしれない!
これもツイッターでちまちま呟いてたんだけど、死ぬほど長くなったし書きたいことは全部書ききれないしで反省しました。今度から長すぎる妄想のは全部こっちに書くことにしよう・・・。

そう、それで売春する爛れたDKの及川さんのことなんですけど。
及川さんは大学生OBと体の関係だけで付き合ってるんですが、その人が薬使ったりするようなちょっとヤバい感じの人なんです。
あるときそのOBから「トオル、いいバイトあるけど興味ある?」って言われて、売春始める及川さん。
バックに大きな組織がついてるので取り分とか使うホテルとかがきちっと決まってます。何よりの特徴は、そこの組織のもとで買春する男の子は、みんな赤いリボンを手首に結んで繁華街に立つということ。
それが買春する子の印で、常連はみんなそれを知っているから、そのリボンを目印にして声をかけてくるんです。
買う側はそのリボンをつけてる子に声をかけたとき、その子がこの客は嫌だと思うなら無視。繁華街だから、断られても客も手は出せない。で、この客でいいと思ったら、交渉が成立した証として男の子がリボンをほどいて渡すんです。
その組織に入ってから、毎週決まった曜日に繁華街の決まったところに立ってる及川さん。
及川さんは顔もきれいだし、筋肉ついてるしで結構人気なのに、まったく客を選ばないので、声をかけられたおっさんについてくだけ。
ハゲてテカったおっさんに「・・・どうかな・・・?」って声をかけられて、無表情で紐を渡す及川さん。
そうして組織が抱き込んでるラブホテルに無表情で向かって、無表情で抱かれる、2時間5万円の及川さん。取り分は2万5千円。
別にお金が欲しいわけじゃないけど、男に抱かれつづけてきたし、暴力ふるわれたりもっとひどいこともされたし、別にもう失うものはないし、って半分はどうでもいいやって気持ちになってるんです。だから稼いだお金を見るのが嫌で、お金が入るとブランドものとかひょっと買って女の子に渡しちゃったりする。

そんなある日、いつものように赤いリボンを結んで街角に立って携帯いじってると、「及川さん」って声かけられる。
うわー知り合いかよ。と思いながら顔を上げると、飛雄がそこに立ってるんです。
烏野のジャージを着て、ちす!って律儀に頭を下げる飛雄。
「及川さん何してるんですか?」
「・・・別になんでもない。トビオは?」
「俺は部活終わって帰るとこです」
「あっそ」
早く行ってほしいと思いながらまた携帯に目を落とす及川さん。
でもその思いと裏腹に、飛雄は及川さんの手首に結ばれた赤いリボンを凝視するんです・・・。
「これなんですか?」

その時及川さんに悪魔が囁くんです。
ああ、そうだ。
こいつを、奪ってやろう。
及川さんはにっこり微笑んで、飛雄にリボンの結ばれた手首を差し出します。
「はい」
意味が分からずぽかんとする飛雄。
「ほら」
「・・・え?」
「トビオはこれをほどいてくれるの?」
意味の分からない問いかけに、トビオは及川さんを見て、そうしてひらひらとはためくリボンを見て、戸惑いながらおもむろに手を伸ばします。
「ほどくんですか?」
怪訝な顔をした飛雄が戸惑いながら赤いリボンをスルスル解いた瞬間、及川さんは飛雄の手をガッと掴んで歩き出します。
「はいっ決まりー。交渉成立ね」
ズンズンと歩き出す及川さんに引っ張られる飛雄。
「えっ?!何がですか?!」っていう飛雄に答えることもなく、及川さんは毎回使ってるラブホテルに飛雄を半ば無理やり連れて来るんです。
フロントで鍵を受け取ろうとすると、受付のおばちゃんが、何ですか!何ですか!って叫ぶ飛雄と及川さんをじろりと交互に睨みます。

「ずいぶん若い客だけど?払えるんだろうね」
「ほっといてよ」

おばちゃんから鍵をひったくって、トビオの手を引いて部屋に引きずり込む及川さん。
ドアをばたんと閉めると、混乱したトビオをよそに即行ベッドに腰かけて、ブレザーを脱ぎ捨てます。

「二時間しかないから。シャワー浴びてきて。俺が先に浴びてもいいけど」
ネクタイを緩めながらそう言い放つ及川さんに、トビオは食って掛かります。
「ちょ、ちょっと待ってください!何ですかこれ!」
「何って?」
「なんでこんなとこ連れてくるんですか!」
「うるさいな〜大声出さないでよ。ここちょっと壁薄いんだから」
「及川さん何してるんですか?!あのばあさん、客って言ってましたよね?どういうことなんですか!」
「・・・俺の口から説明させるんだ」
分かってるくせに。そう言って、及川さんは蛇のように笑って、隙をついてトビオを組み伏せます。

「いくらおばかなトビオちゃんだって分かるでしょ?俺は体売ってんの。おっさんたちに。それだけ」

シャワーも浴びさせないまま、及川さんは飛雄の制服のスラックスを無理矢理おろします。トビオは抵抗するけれど、同じだけの力があるなら上に乗っている方が有利なんです。
及川さんに押さえ込まれるトビオ。
「やめてください・・・っ!及川さん!及川さん!!」
抵抗する飛雄の喉元を思い切り押さえつける及川さん。
「・・・っ!」
「いまさらガタガタ抜かさないでね?飛雄がリボンほどいたんだから」
「はあ?なに、言って・・・っ!」
「ああ、言ってなかったっけ?あのリボンをほどいたら売春の交渉成立なの」
首を閉められて、息苦しさに顔を歪める飛雄に顔を近づけて、及川さんは微笑みます。
「俺はね、知ってるんだよ飛雄」
「なっ・・・んですか、それ・・・!」
「とぼけないでよ〜。及川さんの目は誤魔化せないよ?」
「・・・!」
「俺の技を見てるフリして、先輩を憧れの目で見るフリして、飛雄は何を考えてた?」


「飛雄、俺は知ってるよ」
「お前はずっと」
「俺を犯したいと思ってたんだよね」


瞬間、トビオの顔に緊張が走って、かあっと頬が赤くなります。
クスクスと笑って首を絞める手を離す及川さんと、体をよじって咳き込む飛雄。
「あはっ、図星じゃん。違うなら違うって言ってみなよ」
「違・・・違う・・・!」
嘘ばっか、って鼻で笑う及川さん。
「だったらさあ、お前のココはなんで勃ってんの?」
そう言って、及川さんは飛雄のそれを膝でぐいぐいと押します。痛みと苦しさで及川さんの腕の中から逃げようとするトビオの手首を掴んで、及川さんはニコニコ笑います。
「どこいくの?逃げたりさせないよ」
そうやって笑う及川さんに、痛みで顔を歪めながら、トビオは叫ぶように言うんです。
「もう、やめてください・・・!!」
笑顔を引っ込めて、でもその叫びを看過して、及川さんはトビオの額に口づけます。

「・・・トビオ、初めてでしょ?優しくしてあげるね、多分」

そう言いながら、及川さんは飛雄を乱暴に愛撫していくんです・・・。


〜〜暗転〜〜


全てが終わって毛布の中で微動だにしないトビオ。その横で、さっさと着替え始める及川さん。
「気持ち良かったよ〜飛雄ちゃん。ハジメテにしては上出来じゃん」
「・・・及川さん」
くぐもった声をかけられてそちらを向くと、飛雄は体を起こしてこっちを見ています。射るように鋭いまなざしで。真っ直ぐに及川さんの目を見つめて。

「なんで俺とこんなことしたんですか」

「理由があるとでも思ってるの?」
ハッとした表情をするトビオに、及川さんはにこりと笑います。
「あのさ、ただのバイトだからね?客を取って、セックスして、金をもらうバイトなの。その客が今日はお前だっただけの話なの」
「客って・・・!」
「ありがとうございまーす、ホテル代と合わせて5万円になりまーす」
「はっ・・・?!そんなに持ってるわけないじゃないですか!!」
「だってトビオちゃんは客でしょ」
払ってくれなかったら、俺上の人に怒られちゃうよ、という及川さん。それを見て、トビオは唇を噛み締めます。
「でも良かったでしょ?俺とセックスできてさ。トビオちゃん、いつもすごい目で俺のこと見てたから。いつかさせてあげてもいいと思ってたんだよね」
ペラペラと話す及川さん。
「・・・俺は」
「?」
「そんなつもりで見てたんじゃ、なかったんです。俺は、ただ、及川さんが、」
「うわー、今更。嘘くさ」
「・・・」
唇を噛んで俯いた飛雄を横目でみやって、ため息をついた及川さんはその隣に腰掛けます。
「キスしよう、トビオ」
「え?」
意味が分からず戸惑う飛雄に、嫌そうに舌打ちをする及川さん。
「5万払うかわりにキスでチャラにしてあげるって言ってるの」
「え、なんで」
「だから、5万払うの?キスすんの?」
「・・・キ・・・キスします・・・」
ほこりっぽい部屋のにおい。
ぐちゃぐちゃになった白いシーツ。
ベッドの枕元に放り出された精子が入ったままのコンドーム。
ラブホテルのベッドの上で、2人は唇を合わせるだけのキスをします。

唇を離した瞬間、及川さんはそのままトビオの顔を見ることもなく、何にも言わずに部屋を出て行きます。
飛雄の呼び止める声を無視して、ホテルの廊下を足早に歩いて、受け付けのおばちゃんに自分が前の売春で稼いだ5万円を無言で渡して、ホテルから逃げるように駆け出します。

たくさんの人に体を売ってきて、好きでもない男とセックスして、痛みも苦しみも何にも感じたこともなかったのに。
こんなに苦しいセックスは初めてでした。
こんなに悲しい気持ちになるキスは初めてでした。

〜fin〜

っていう影及のことを考えていました。
赤い紐手首につけてる男子高校生とか可愛いなあって思ってたはずなのに、なぜか妄想がどす黒い方向へ進んでいってこうなった。
及川さんは自暴自棄なようでいて、すごく救いを求めているタイプだと私は勝手に思っているので、いつも自分でほどいて渡してるリボンを、いつかほどいてくれる人が現れると思ってたりしてもいいなとおもいます。それがトビオちゃん・・・。
このあと及川さんが街角に立つたびにやってくるトビオちゃんがいてもいいなあ。及川さんを誰にも買わせず、2時間5万円で買い続けるトビオちゃん。
最初は無視してるんだけど、徐々に資金源が気になって訊く及川さん。
「トビオさあ、この5万円どうやって持ってきてんの?」
「及川さんと同じことして稼いでるんです」
ってしれっとした顔して言われてさあ・・・
「はあ?!やめなよ!」
「及川さんに言われたくないです」
「いやそうだけど・・・」
「及川さんがやめたらやめます」

実はちっちゃい頃からコツコツためてたお年玉(影山家は親戚が多いのでがっぽり正月にもらえる仕組み)を切り崩してるだけだと思うんですけど。